2045年11月18日。
土砂の下に埋まっている人間をどうして助けに来ないんだ?
放射能まみれの町に誰が来るか!
被曝を免れた半島の先の方は救助が始まってるらしいが・・・・・。
この地域は避難指示が出てるし、残っている人間はもう死んでるよ・・・・。
自業自得か・・・・。
明日にはレスキューロボットがやってくるってさ。
ロボットねえ〜。
ロボットも大変だねえ〜。
陸上の交通網は寸断されてる、来るとしたら海からだな。
西日本中がこの惨状なんだ、汚染された町の救助なんかどんけつだ。
被爆した人間とワシらは核のゴミだ。
核のゴミのワシらはこれからどうするんだ?
黒島へ上陸するんだ。(顎で沖を指す犬)
放射能まみれの海を泳ぐのか?
明日の潮の流れが最高なんだと。その辺の板切れに乗って漂ってたら黒島に着くんだと。
誰の独断だ?
あの三毛猫だ。
<左上から読んでください>
三毛猫が千鳥丸へ飛んだ、猫や犬達もゾロゾロ乗船した。
タン タン タン タン
タン タン タン タン
タン タン タン タン
タン タン タン タン
タン タン タン タン
タン タン タン タン
98歳の丹野スズは<300年>の長さを想像してみた。・・・・・「アヘ〜・・私の人生の3倍」脱力したが、丹野スズは26年前、菊池のジジイから買った大江健三郎著の「小説のたくらみ、知の楽しみ」の中の詩(ウィリアム・ブレイク)を口ずさんだ。
<人間は労役しなければならず、悲しまねばならず、
そして習わねばならず、忘れねばならず、
そして帰ってゆかねばならぬ/そこからやって来た暗い谷へと、
労役をまた新しく始めるために>
タン タン タン タン タン タン タン タン
原発の町。 終
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