原発の町9 龍神様の愚痴が止まらない。黒島を中心とする宇和海北海域、海上封鎖真っ只中。伊方町民異分子の反乱!

 放射能をどうにかしてくれと、誰もこの龍神様に手を合わさへんわ。かしこい奴らじゃ。潮の流れとか、風向きはなんとか操作できるが、神様とて放射能は手に負えん

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 伊方町民の流出止まる。放射能汚染された「黒島」隔離封鎖のニュースバリュー落ちず、各メデイアの取材継続中。

 インタビューに答えた伊方町民の声。

 「すごいがや!戦争みたいやが」と中浦の一作ジジイ。中学の同級生に悪い奴がおっての、そいつが神戸の鑑別所に入れられた時の話や。新入りはその部屋の大ボスの前で挨拶をせなあかん、面白い話の一つでも披露すれば待遇が良くなると聞いていたそいつは「神戸のカラスは真っ赤っか」と叫んだ、ところがだ、「ボケ!カラスはどこも真っ黒けや」とボコボコにされたそうや。鑑別所になんで「真実」がいるのか、そいつには訳がわからんかったそうやけど。第三者のあんたらに聞きたいんやが、原発の町、伊方町は鑑別所やろか?

 「すいません、わたしらのせいで迷惑かけます」と仁田之浜のさとみババア。私「性癖M」ですねん。Mの私見を言わせてもらえれば、伊方町はハリボテですよ。昔、箱物建てて、道路整備して、四国電力さんからバンバン落ちてきたお金で作ったハリボテですよ。わたしらの世代の責任ですから、このままじゃいかんと思とりますが、年やさかい思うだけです。でも大浜の浜野シゲさんは立派ですよ。70過ぎて新聞に載りましたさかい。

 「わしらを晒しものにする気か!」と大浜の六ジジイ。酒臭いかえ、すまんのう。人助けなんかせん方がええのう。昔、石船乗っとたが、体が動かへんなって酒浸りや、家の裏が神社の広場でガキどもがうるさいし悪さするから、何度も一升瓶ほって追い出したが。「死ね死ねロク、死ね死ねロク」ガキどもにはかなわん。その気になってもうて、裏の杏の木に縄かけて首吊ろうとしたがや。そこに、精米屋の次男坊がきて、神社の垣根ごしに歪めた顔で話しかけてきおった。「ロクさん、俺、幼稚園の時に桟橋から海に落ちて、死にかけてるところをロクさんに助けてもらったんです。この恩一生忘れません」「結婚して子供も出来ました」オムツをパンパンに膨らませた男の子を、高々と垣根の上まで抱え上げてわしに見せおった。小さな笑顔が光っておったわ。死にぞこなって20年や、ガキどもはまだうるさいが、もう一升瓶はほらん。この村の人間を晒し者にせんといてや。頼むで。

 「防護服着たままインタビューするがか」と九町の厳ジジイ。防護服ちゅうもんは、外部の毒を遮断するもんやな。ほんならわしの話は聞こえへんで、ゲヒゲヒゲヒゲヒ

 「放射能?そりゃ怖いですがな、しかし・・・いや、やっぱないほうがいいですが」と中之浜のスミババア。名前って怖いなあにいちゃん、わたし顔真っ黒やろ、名前がスミ、にいちゃん笑わんといて。本当はな、子供の時親戚のどっぽん便所に落ちたんや、知ってるかどっぽん便所?え〜!知らんのかいな、汲み取り式の便所や。どっぽーんと落ちて顔中クソまみれや、それからや真っ白やった肌が真っ黒になってもうた。名前のとうりスミなってもうたがな。ガハハや。

 「ああー、わしゃ残る。ハハッ、90才やゾンビや」と大浜の弥次郎兵衛ジジイ。笑ってもかまへんかまへん。「弥次郎兵衛」漫才みたいな名前やろ、二代目や。落ちそうで落ちないヤジロベエ、ガキの頃はいじめられたが、今じゃお気に入りじゃ。伊方町と同じじゃろ、死にそうで死なない伊方町、ウオホホホッホ!

 「小学5年生。うん、じいちゃんが大丈夫や言うから残ってる、・・・父ちゃんも母ちゃんも賛成、僕も大賛成。この町は好きだよ、一番好きなのは海、というか海の中の大きな石の下とか、岩の割れ目とか、テトラポットの中、・・・・えー!のぞいた事ないの。大人なのに。・・・・・・え?今一番欲しいもの?もちろん水中眼鏡」と豊之浦の小学生。

 海中に打った支柱の土台部分のコンクリートが固まるまで、黒島隔離封鎖工事、三日間休止。

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丹野スズ、黒猫との約束はたし、八幡浜市保内へ帰る。

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