未分類 原発の町17 海面を煌めかせていた灯りが消えた黒島は、いつかのフミさんの家みたいに、青い夜にシーンとしていた。桟橋の先端に立つミツジジイは、さっきのアリの事を考えた。桟橋を去る見物客に混じって、振り返ったミツジジイが見上げた大浜の家屋の灯りの位置の不変は、生々しい敵意だった。ミツジジイは過去のメジロと同級生のことを考えた。
一つ目はさっきのアリ。スズ婆に促されたシゲ婆が渋々ミツジジイに教えてくれた、フミさんの、一回こっきりの、最後の、40年間分の、血と涙と糞尿まみれにした姉ちゃんへの、さよならのかわりの遺言。 「姉ちゃん、アリが10匹」1967年 二つ目は過去...