早朝6時、室内点灯、白衣のマスクおばちゃんが、使い捨ての熱いおしぼりを袋から出して振る。7時、朝食用の割り箸とスプーンがサイドテーブルに置かれる。8時朝食だ。入院2日目、初朝食はお粥とおかずと棒チーズと紙パックの牛乳とフルーツ。(デイスボ食器?)おかずとフルーツだけ日替わりだ。お粥と棒チーズ、場末の漫才コンビだが塩味さえないお粥には欠かせない相方棒チーズだ。フルーツは病院食の中のヨボヨボジジイの推しアイドルだ。今朝は果汁たっぷりのオレンジ、アイドルだけ完食、あとは残った。熱はあるし朦朧としているマスクヨボヨボジジイ、食後はギシギシ動きミイラのように横たわる。
体温と血圧測定、マスクヨボヨボジジイが薄く目を開けると、フェイスガードさんが体温計の数値を笑って掲げた、(38.7)。1回目のステロイド点滴。マスクリハビリの方と少し歩いた。目眩と吐き気。クリップボードの文字ー身長は?ー「174センチ」と答えた。病室が個室から4人部屋に変わった。窓から山の傾斜が見えた。また体温と血圧測定(135/78)。昼食は完食できなかった。午前と午後の時間が渾然一体。マスクヨボヨボジジイは自覚する。覚悟する。聴覚が死んだ。「俺はツンボになった」
翌日の昼食後トイレに立った時だった、マスクヨボヨボジジイがあと10日間隔離される病室の番号が、ドアの上部の横の10センチ四方の金属の真ん中に「510」黒くあった。
6、7、8、2、38,7、1、174、135/78、10、10、510、数字は秩序だ。
30%!ステロイド治療による、突発性難聴の完治率。
「30」この数字は混沌だ。
エズミ姉弟は存在している。早く二人を見つけなくては。

ありがたいかな、自己中の背徳者は混沌に沈まない。

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