2023年(1)  コロナ感染により右耳突発性難聴!これで両耳聴覚を失い脳みそがパニックをおこしヨボヨボジジイ昏倒!救急車で搬送されたヨボヨボジジイの痴と涙。

 2022年、12月23日。「正月の集まりは無し、コロナに感染し家族4人隔離期間に入った」と明石市に住む娘からラインがあった。

 奮発して購入した正月用のカニは明石の娘の冷凍庫の中でカッチカッチ。豊中のヨボヨボジジイの冷凍庫には、元日の朝、明石へ持参する予定だったすき焼きの肉がコッチコッチだ。まあ五分五分だ。

 2023年1月7日、明石の娘家族隔離期間解除。翌8日、ヨボヨボジジイとバアバは我慢しきれず明石の孫たちに会いに行った。

 コロナを舐めていたわけではないが、油断した。12日出社した妻が、咳に不安をおぼえ、市販の抗原検査キットを購入、結果は陰性だった。その経過を会社に報告したおり、PCR検査を提案され、翌13日の検査の結果、妻のコロナ感染判明、8日間の隔離期間に入った。

 その日から、妻は寝室と食事を別々にし、自宅でもマスクもしたが、ヨボヨボジジイは無防備だった。そして1月15日(日曜日)の朝、ヨボヨボジジイは地獄に落ちた。

 2023年1月15日(日曜日)午前9時。薄曇り、コタツで朝食をすませ、壁に背をもたせかけ、テレビを観ていたヨボヨボジジイの耳の奥が、突然ガガッザザアー、ガガガザザー!アレ?アレ?なんや?部屋がグルッと回転した!あかん!何か?頭の配線が切断された!脳みそがぶっ飛んだ!座っておられへん!ヨボヨボジジイの体は、布切れのように壁から滑り落ち昏倒状態に陥った。ヨボヨボジジイ頭ん中で藁を掴んだ。救急車や!

 びっくらこいた。「おーい。救急車を呼んでくれ!」自分の声が頭の中で籠った。ヨボヨボジジイ???なんやコレ?妻が入口から訝しげな顔を出して口を動かした、妻が何か言った?「エー?なんや?耳が全然聞こえへんねん!」オレの一語一語がオレの頭の中で跳弾し続ける。ヨボヨボジジイ叫んだ。「救急車呼んでくれ!」頭の中で跳弾し続ける。アカン、脳みそがヤラレタ。ヨボヨボジジイは死んでいくように目を閉じた。

 ・・・・遅いんちゃうか。救急車を呼んでくれてるのか不安で薄目を開けると、死体を見下ろすような青い顔で妻が携帯を耳に当てていた。アカン、身体はまだフニャフニャの布切れや力が入らへん。ヨボヨボジジイ薄目を閉じた。

 肩を叩かれ、二度目に目を開けると、救急隊員のフェイスガードが目の前にあった。(ほら、エリオットの家へ突入する防護服、映画ETのワンシーンだ)救急隊員が何か喋ったが、ヨボヨボジジイは籠る声で、「耳が全然聞こえん」「耳が全然聞こえん」と訴えるしかなかった。ヨボヨボジジイはストレッチャーで運び下ろされ、外でそのまま待たされた。吐き気が胃を締め上げた。ちょっと寒いのは我慢した。ガタガタ、ストレッチャーが震え車内に押し入れられた。救急車が発進した。ヨボヨボジジイ終始目を閉じたままだった。

 救急車は空飛ぶ魔法のじゅうたんではない。横になっているせいか、道路の凹凸が、ガタガタグラグラ全身を情け容赦なく揺すり、平衡感覚を失しているのかヨボヨボジジイの吐き気が爆発した。頭を高くしてもらったが、何度もえずき、出るのは胃液と暖かい涙だけになった。とにかく苦しかった。

 十三あたりの病院(脳外科病院)に着くと身包み剥がされ、鼻腔に綿棒を突っ込まれた。そしてCTスキャン、MRI,レントゲンなど慌ただしく検査がはじまった。尿意は限界に近づいていたが、若い女性の看護師さんだったので我慢した。ヨボヨボジジイは寝たままなのだ、小便をするには誰かの手が必要なのだ。ヨボヨボになってもジジイは男なのだ。ガハ!

 ストレッチャーベッドに横たわったままの、耳の聞こえないヨボヨボジジイは、時間の経過が把握できないでいた。でも、尿意が限界に達する時間が流れたことは確かだ。

 看護師さんに肩を叩かれ、薄目でクリップボードの文字を読まされた。ーコロナですー

 ーコロナ隔離病棟のある病院へ転院しますー 薄目で黙読したヨボヨボジジイは小さく縦にかぶりを振った。

 転院までの待機中。陰茎をつかまれるのと、漏らすのと秤にかけて、ヨボヨボジジイは籠った声で若い看護師さんに結論を言った。「小便したい」

 看護師さんの指がチョッチョッと陰毛をかき分け陰茎を横に倒し何かに突っ込んだ。ヒャー!エ〜!ヨボヨボジジイはショックだった。ーかき分けたやんー

 転院先までの車中、何度かえずいたが。これが苦しい、口から出したい液体が出ないのだ。代わりに目尻から涙が溢れ出す、・・・・これが暖かい。

 ヨボヨボジジイ強がる。ハン!これがほんまの(嘔吐)オートドライブじゃあ!

 1月15日まだ午前中、アレもこれも、これもアレも初体験。両耳全く聞こえず。

コメント

タイトルとURLをコピーしました