harmar mitt

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原発の町19 過疎の伊方町を存続させていたのは原発の金だ。完全に電化製品化した109歳の源ジジイを生かしていたのも原発だ。2045年の秋まで。

2045年11月17日、北海道川上郡の牛舎が揺れた。作業を止め牛舎の骨組みを見上げたがもう揺れは去り、牛たちの静けさにも安堵し、携帯を取り出し震源地を確認した青年は「これはでかい・・・」と思わずつぶやいた。震源地は四国高知の南の海底だった。...
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原発の町18 2020年、感染爆発したコロナウイルスは、世界中のヨボヨボ達を容赦なく殺していった。原発建設時の混乱を体感した伊方町のヨボヨボの大半は、幸運にも寿命が尽きるまで生きのびた。

2019年11月4日、丹野スズは八幡浜保内へ帰った。伊方町民は100,000人が残したゴミの撤去に辟易していた。火星の居住空間として具現化されていく黒島を、島内に住む3本足の黒猫は静かに睥睨している。ドームの南側上部には太陽光パネルが並び、...
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原発の町17 黒島はいつかのフミさんの家みたいにシーンとしている。夕暮れの桟橋の先端に立つミツジジイはアリとメジロと同級生の事を考えていた。

一つ目はアリ。スズ婆に促されたシゲ婆が渋々ミツジジイに教えてくれた、フミさんの、一回こっきりの、最後の、40年間分の、血と涙と糞尿まみれにした姉ちゃんへの感謝の遺言。 「姉ちゃん、アリが10匹」1970年 二つ目はメジロと同級生だ。1967...
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原発の町16 「幸せな人だけなんですかね、夢と現実の間に垣根さえないのは」18歳の時、交通事故により下半身付随になった同級生の言葉。

ミツジジイはフミさんの言葉を思い出していた。 フミさん喋る。 「いちいち「ありがとう」はいらん、それに一回や2回で済まんやろが、一番最後の、でっかい一回だけでいいがや」と姉ちゃんに強制された時、まあ、面倒臭くなくていいかな姉妹なんだしと、軽...
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原発の町15 「生贄連れて来たが!」シゲ婆の家の前にミツジジイをほったらかして、源ジイはトンネルの出口のように光る桟橋へ、ねじまきのロボットのように下っていった。

「だれが?」シゲ婆はガラガラと玄関の扉を引き開け、夕影の中のジジイを訝った。「・・・何しにきたがか!」シゲ婆は敵だとわかると顔を顰めた。「あなたにフミさんからの伝言があります」影の中のミツジジイが言った。「・・・アン?」シゲ婆は気色ばんだ。...
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原発の町14 漫画「楽天家族」。ぐちょぐちょ、おちゃらけ、ケ・セラ・セラ、トイレットペーパー、うなぎにカエル、コウモリに、クネクネ!ヨボヨボジジイ。

兄貴が立候補した2014年の伊方町町長選を利用して、38年間交友のなかった半身不随の車椅子生活の同級生にミツは連絡をとった。角形A3号の茶封筒を郵送したのだ。中身は、近況のあとに、還暦の漫画家デビューを目指しますと一文書き足した手紙と自筆の...
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原発の町13 黒島隔離封鎖終了。100,000人の無秩序の移動が伊方町の時空をかき混ぜる。源ジイはミカン山の雑踏の中に懐かしい顔を見つけた。

ミカン山の中腹を走る農道は移動する見物客でごった返していた。「ミツ!逃げんなや!」源ジイは犬をたしなめるように、モスグリーンのチノパンツにグレイのパーカーを着た中肉中背のヨボヨボの背中へ大声を投げた。中肉中背のヨボヨボが急に止まり雑踏の流れ...
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2023年(20)ヨボヨボジジイ豊中警察署に出頭、両耳に装着したピカピカのブラック補聴器が心強い味方だ。

6月8日、待ちに待った補聴器をはめた耳と、運転免許証更新ハガキと、今回は一発OKの証明写真(1000円!4月に撮った証明写真、サイズ違いで使用できず!なんでや!)を持って豊中警察署へ出頭、運転免許証の更新だ。 視覚検査はあるが、聴覚検査は基...
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原発の町12 設置開始予定のPM1時が過ぎても、見わたす海上にも上空にも巨大ドームは影も形もなかった。 見物客から不満が噴き出し始めた。

1 「シゲちゃんクロシマ君ありがとうね」丹野スズ(72歳)は、浜野シゲ(72歳)の家の2階の窓からクロシマ君を抱いて黒島を眺めていた。「不良品だからタダ」浜野シゲは黄色い小さな早生ミカンを両親指で真っ二つに割り、皮をベロッとむいて半分を口に...
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2023年(19)5月27日ヨボヨボジジイ、補聴器初装着?。!。風の音が騒音だったんだと初めて知った。新米の補聴器は優しさに欠ける。

4月14日、関西メデイカル病院から突発性難聴中等症の診断症を交付していただき、その足で障害者手帳交付申請書を提出しに豊中市役所へ行った。 5月1日に障害者手帳を交付していただき、それを持参して5月9日に補聴器給付金の手続をしに豊中市役所へ朝...